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工場紹介
2016/08/04

オフ輪工場の素顔19(乾燥関連のトラブル)

メディア

適度な乾燥

オフ輪印刷でのインキの乾燥は、ドライヤーを通して100度以上の熱風をあてて行います。用紙の種類や状態(含水率)、絵柄の重さ、印刷スピードなどいくつかの要因でインキの乾燥や用紙の状態に影響が出ます。オペレーターはこれらの条件を考慮しつつ、適切な乾燥状態を得るために調整を行いますが、時としてトラブルが発生する場合があります。

乾燥不良

インキが乾いておらず、ブロッキングを起こしたりするトラブルです。排出された刷本を確認すればわかるので、通常は起こらないトラブルですが、絵柄が極端に重く、インキ濃度が三百数十%を超えると、表面上は乾いていても内部は乾ききれておらず、後加工時にブロッキング等が発生する場合があります。基本的には乾燥温度を上げることで回避しますが、乾燥温度を上げれば逆に用紙のトラブルを発生する場合もあります。

ブリュスター(火ぶくれ)

用紙内部の水分が乾燥して気化した際に逃げ場がなく火ぶくれのように紙面がふくれるれる現象です(印刷用語集参照)。ベタ系の絵柄で目立つのですが、対策としては先ほどと逆にできるだけ乾燥温度を下げる、用紙を交換するなど行います。

用紙の伸縮

冊子など印刷する際に、数量や用紙の都合で、表紙を枚葉印刷機、本文を輪転印刷機で印刷する場合があります。輪転機で熱風乾燥させると、水分が抜けた影響か用紙がほんの少し収縮します。その状態で冊子を綴じて仕上げ断裁した後に、輪転機で印刷した本文だけ用紙の収縮が戻ると、表紙よりも本文がほんの少しはみ出た冊子になります。収縮はしばらく時間を置けば戻るので、本当は時間を置けばいいのですが、短時間で仕上げなければいけない場合、こういうトラブルがどうしてもおきてしまう可能性があります。

背割れ(芯抜け)

これは冬季の湿度の低い時期に、用紙自体の含水率が低くなり乾燥した状態に更に熱風で水分が抜けるために、用紙が乾燥してパリパリした状態になってしまいます。乾燥してこしが無い状態で用紙を折るので、折り目で用紙が裂けたり、中綴じ本で針の部分で用紙が取れてしまうトラブルが発生する可能性があります。印刷時に負荷をかけて検査したりして確認しますが、これもできるだけ乾燥温度を下げて含水率の低下を抑えるようにして対策します。

このように乾燥温度も下げすぎると乾燥トラブルを起こしますし、上げすぎると用紙のトラブルを起こします。この微妙な調整を行うとともに、如何に低い温度でもインキを乾燥させることができるようにするかも、技術の見せ所となります。